神戸の歴史ある水道橋商店街に位置するクリーニング店舗の改装工事です。
開店当初からの木造建築は、老朽化と耐震性が懸念され、日常業務における機能性や環境を整える意味でも、改装を実現する機会を以前から検討されてきました。
更に加えて、次世代へ向けてのクリーニング店舗の在り方を求められ、従来のクリーニング店舗のイメージを払拭するような空間性、デザイン性を実現することになりました。
アーケードの商店街に対してオープンなエントランス窓口や24時間対応の受け渡しシステムをはじめ、基盤となる壁の素材感を重視した存在性やモザイクタイルをあしらった接客カウンターとその上部に浮遊する円盤状のペンダントライト等が、賑わいの中で埋没しそうな商店街の表層から、ひとつのアイキャッチとしての存在感を醸し出しています。
また、クリーニング業務の年間を通じて比較的来客が少しだけ落ち着くという、ピンポイントの期間を狙って限られた時間での現場でしたが、一瞬の迷いや検討に許される時間も必要ないかのような、いつもながらのチームワークと新たな人脈の中で、一つの答えとしての空間が生まれたことを嬉しく思います。
これからの世代を超えて永く愛顧されるお店として、その存在が続くことを願っています。
設計 一級建築士事務所 ソツカ建築アトリエ 曾束真治