長く狭いアプローチの奥にある、閉鎖的な旗竿型の敷地に建つ木造2階建の住宅の周囲には、南側の僅な余白を残し、隣接建物がぴったりと囲んでいた。小さく間仕切られた内部は、幾度かにわたる改修の跡も見られ、昼間でも真っ暗に近い。この継接ぎ感のある息苦しい室内を、明るく開放するため、南面した既存開口を最大限に活かし、建物の奥まで採光を得るよう、適切な位置と大きさで吹抜けをつくるプランニングを行なった。また、解体中に湧いたもう一つの課題として、「どんつきの敷地」内にある「どんつきの部屋」の集合であることも、計画上の問題点であると考えた。解消策は、終わらないシークエンスをつくることだ。部屋を抜けると部屋に出る、ぐるぐる回る、さらに進んだ「どんつき」の最終は、外部となるような見せ方を意識した。南側ファサードの土間に面した全ての掃き出しの開口を、建物へのアプローチとして捉え、1階のリビングからはじまった回遊性を、吹き抜けを介して2階にまで連続させようと試みている。結果、2階の個室の建具にも可変性を持たせ、水回りを中心としたコア型のプランとなった。
設計 岩本賀伴建築設計事務所 岩本賀伴