細い袋小路状の通りに面した小さな住宅の計画である。敷地は42条2項道路に面し、入口での幅員は2mを切る為、重機類もほとんど入ることはできない。当初から建て方も手上げになると想定し、大きな材がでないよう、できるだけ細切れなボリュームで計画を行った。結果4つに分けて棟を連続させ、施工性やローコスト化に配慮し、現状のヒューマンスケールな道路に沿って、軒を連ねる佇まいとなった。さらに、路地裏の雰囲気をより強調する為、又、南側に出来るだけ広く庭を確保する為、天空率で道路斜線の緩和を受け、境界際ギリギリまで建物を寄せている。道路に迫った建物は、通りに対し威圧的にならないよう、ピロティや、ハイサイドライトをファサードを貫くようにリズム感をもって開けてゆき、南側の明るさと視線の抜けを北側道路まで引き込んでいる。こうして1つの住宅の装いが、街並みに上手く溶け込みながら、狭い袋小路の環境全体を、より整った街並みへとアップデートすることができないかとスタディした。
設計 岩本賀伴建築設計事務所 岩本賀伴