岡状に盛り上がった敷地の南東角から、対岸に関西空港までを臨むことができる、セカンドハウスの計画である。東海岸特有の気候の穏やかさを感じられる、明るく開放的な恵まれた環境が広がっていた。配置計画は、当然ながらこの海に向い真っ直ぐ開くよう、室内との繋がりや周辺との距離を繰り返し調整した。海と反対にあたる北西の境界線に沿い、神戸に至る幹線道路の利便性を考慮し、駐車スペースを大きめに想定している。西から南にかけて、グランドレベルを豊かな緑が覆っていた。この雑木林を活用し、ゆくゆく動物たちと暮らす獣舎やビオトープを予定し、伐採は最小限に留めた。木陰に佇むよう、外観は出来るだけ小さく(かわいらしく)、コストを削減しつつ、屋根を急勾配とした。従って、両サイドの軒は低く、棟の位置は高い。そうして出来たログハウスの小屋裏空間のような2階に、寝室を設けた。小柄なクライアントの身体が、心地よく外皮に包み込まれ、外との関係も程よく保たれると考えた結果である。ここでは、小さな内部と、大きな自然が対峙している。淡路島の豊かな環境との関わりを預かりながら、動植物と共生してゆくための将来を見据えた居場所である。
設計 岩本賀伴建築設計事務所 岩本賀伴