CASE 施工事例

壁と庇の伽藍堂

新築

2024.01.17

旗竿状の敷地に建つ、親世帯から引継いだ二世の為の木造2階建て住宅の建て替えである。1階の天井高さは、土間部分で3m。基礎の高さは、水害対策の観点から600mmを確保している。片流れ屋根とし、2階の南側の天井高さを4.7mまで大きく捲り上げ、ハイサイドライトが隣地の屋根よりも更に上のレベルにくるように設定した。そのため外観は、大凡3階建の装いになっている。そうすることにより、旗竿状の入り組んだ宅地に、出来る限り開放感を与え、安定した自然光を最大限確保出来ると考えた。間取は1・2階共に約32畳の伽藍堂だ。上下階に1部屋ずつ、部屋の間仕切壁は一切設けていない。一般的な3階建ての規模の住宅の外形に対して2層分、見た目に反したスケールが内部に広がっている。平面と断面、双方にスケールのずれが交錯するように操作を加えたことで、階移動のアクティビティと同時に、「普通の住宅」として養われた、これまでの感覚とは異る知覚の揺れを、身体に誘う。ここで生まれ、幼少期を過ごし、学校へ通い、青春、就職、定年、介護を経た住まい。その全てを一新し、またここから新たな生活が始まる。未来を受入れられるおおらかな器が、なにより必要であった。一歩一歩力強く、新たな完成に向かう場となるだろう。

                           設計 岩本賀伴建築設計事務所 岩本賀伴

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